7月7日

 履歴書ってあるじゃないですか。バイトの面接に使う奴。

 あっれっがっワタクシ大嫌いでしてねぇ。履歴書を書くことほど人間の興味を刺激しない行為はないんじゃないでしょうか。あんなものは創造性溢れる現代人類が行うべき作業ではありません。

 だいたい志望動機ってなんですか。金が欲しい以外の理由でバイトしようとする人がいたら是非お目にかかってみたいものですね。
 にも関わらずこの回答はダメという雇い主が、決して無視できるほど少なくないのが現状です。まったくアホらしい形式主義というほかありません。志望動機欄に毎回心にもないことを書かされるのが非常に苦痛です。しかも具体的なメリットが何もない苦痛なのです。

 それから、いちいち証明写真をつけなければならないのも理解を拒む事柄です。
 証明写真って本当に必要なんでしょうかーッ!?と声を大にして叫びたいです。世界の中心で。
 あれは一体何のために貼付けなければならないのでしょう。その履歴書が本当に本人の物なのか確認するためなのでしょうか。面接時に他人の履歴書を提出する人がいたら是非お目にかかってみたいものですね。
 そのバイトをきちんとこなせる能力さえあれば、顔なんざどうでもいいはずです。
 アイドルとかの、イケメンにしか務まらないようなお仕事ならともかく、ね。
 ……え? 俺? 俺はイケメンだよ?(前髪をかき上げつつ眉毛を上下にピクピクさせながら前歯をフラッシュ)

 いやそんなことはともかく、ぶっちゃけ証明写真が高ぇんだよダボがッ!!
 あの時払った金で何冊のラノベが買えたのかを考えると、あまりの悔しさに脱糞&憤死しそうになりますですのよことよ!

 まぁはしたない。


6月29日

 あ、そうそう、例の超時空電撃落選作品を某大手投稿サイトに晒してみたんですよ。

 一次選考落ちとかそういうことは伏せておいたんです。だって恥ずかしいじゃない。

 そこでまぁ、お褒めの言葉をいただいて、傷ついた己の虚栄心を癒す材料にしたりしていたんですが、

「是非ライトノベルの賞に応募してください! 富士見か電撃がいいんじゃないでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「電撃がいいんじゃないでしょうか?」
「電撃がいいんじゃないでしょうか?」
「電撃がいいんじゃないでしょうか?」
「電撃がいいんじゃないでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉は、どんな批判よりも鮮やかに、ボクのナイーヴハートをズッキュン(銃撃)(軟弾頭の)。
 ゴフぇッ!(血反吐)

 でもナンだなぁ、私の作品って一般的には「まぁ別に下手でもないけどプロ級などでは決してない」という評価なんですが、どういうわけだか極々一部の人からはやたらと支持していただけてるような気がします。

 その人達が普通とはちょっと違った感性の持ち主さんなのか、それともただ優しいだけなのかはいまだによくわかりません。が、彼らがいたからこそ、根性なしな私が五年も継続して小説を書き続けてこられたようなものです。

 本当にありがとうございます。

 そしてもっとほめて下さい(イヌのように息荒く)。


6月22日

 業務連絡:閉鎖魔法なんとかに17を追加しました。

 さて、そんな事より反省会です。

 とりあえず自分なりに落ちた理由を考えてみます。

・冒頭がつまんない。
 ……もはやこれだけで落とされても文句は言えません。

・キャラがステロタイプ。
 ……ライトノベルをナメてます。

・オチがバレバレ。
 ……この作品の存在価値が。

・つぅかそもそも萌えとオチだけかよ。
 ……まぁ、いつもはバトルだけなんだけどね!

・SF的に言って考証不足。
 ……あー……うー……

・会話文にえもいわれぬイタさが。
 ……きれいな……お花畑だね……

・ラストで前向きになる根拠が弱い。っていうかむしろ無い。
 ……ビックリするほどユートピア!! ビックリするほどユートピア!!

・おいクソダニ野郎ちゃん? 壊れれば誤摩化せると思ってるの? ねぇ、思ってるの?
 ……ごめんなさい。うっ……うっ……。

 

 

 まぁ、あれですね。この結果もある意味当然と言えましょうか。ネット上で「うわっ、俺より上手い!」と本気で思えるような人達が一次落選している様をさんざん見てきましたし、私もまだまだヒヨッコという事です。
 というかむしろこれほどの強敵達を退けて通過できた人達は、絶対にタダの人間ではありません。
 超サイヤ人です。はじけてまざれッ!

 

 

 

 ……いやいや、もういい人ぶるのはやめよう。

 実はわかってる。すべてわかってる。下読みさんが俺様の才能に嫉妬して落とした事ぐらいお見通しだ。

  なぁ、みんなもそう思うだろ? な? な? な??


6月21日

 ようやっと21日であり、電撃大賞一次選考通過者が掲載される最初の雑誌であるところの電撃大王八月号の発売日なのであります。

 とゆーわけで早速、機動力を重視した自慢の愛機(自転車)をフル稼働させて本屋に乗り込んだわけですが。
 ……あれ? ないぞ?
 電撃大王がどこにもないですのよ??

 これはひょっとして、あれですか。
 地方では数日遅れて発売されるとかいう、流通業界の暗部が結晶したかのごときイジメですか。

 シット!

 仕方なくとぼとぼと家路につくバール。ちなみに帰りは雨が降ってやがりました。
 どうやら私は風邪を引くためだけに外出したらしいです
 ぶへぇ〜っちくしょ〜い!!

 しかも家に帰ったとたん晴れだすし。
 パスカルさんはそんなにボクが嫌いですか。

 ……そんなことはどうでもいいんですよ。

 さっきメディアワークスのホームページを見てみたらもう発表してあるじゃないですか!!

 だぁ! 本当に何のために風邪を引いたのかわからん!!

 まぁいいや。さっそく探してみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さようならボクの青春ッ!

 ないです。名前。容赦なく。完膚なきまでに。
 クソッ! 今日の日記のBGMはドナドナにしよう。

 記念すべき最初の新人賞応募は落選に終わったのであった……ッッ
  否! これはただの敗北ではない!
 一次選考落ち! 落選を超えた落選! すなわち超落選ッッ!
 完全なる大敗北ッッ!!

 おぉ、なんということでありましょうか。

 まぁ落ちた事だし、短編に晒しておきますね。

 しかしあれですね。こうして通過作品のタイトルを見ていると、どれもこれも非常に面白そうですねぇ。
 それに比べて何ですか、ワタクシの作品名は。

 『妖精の都』

 捻りなし……ッッ
 ただこれだけでもう完敗です。

 ま、落ちた理由の考察は明日に回すとしましょう。
 ……いや、わざわざ深く考えずとも、単純に面白くなかった以外の理由なんてありえないんですが、ともかく。

 方々の落選者の日記などを見てみると、な〜んか皆さんクールっていうか冷静っていうかとても紳士的に逆境を受け止めていらっしゃる感じで、こなれた大人の嫌な余裕を見せつけられ、圧倒的な『俺、取り残されちゃった感』がひしひし。
 おのれッ!
 せめてボクだけは盛大に悔しがってやる……ッッ

 きぇーーーーーーー!!

 ぐしぁーーーーーーーー!!

 がひーーーーーがひーーーーーーーー!!

 ぬぷるぽーん!! ぬぷるぽーん!!

 フングルイ! ムグルウナフ! クトゥルウ! ルルイエ! ウガフナグル! フタグンッッ!!


6月14日

 むかしむかしあるところに魚人がいました。
 魚人がいつものようにインタアネトであそんでいると、ひとりの女の子がやってきました。
 女の子はいきなりおそろしい表情で包丁をふりかざし、魚人におそいかかってきました。
 魚人は何年かまえに女の子のおとうさんとおかあさんをころしてしまっていたのでした。
 包丁が魚人の胸にふかく突きささりました。
 魚人はいいました。
「神さま、たすけてください」
 すると海のそこでねむっていた神さまがやってきました。
 ながい触手をのばして女の子を打ちころしてくれました。
 でもでも神さまは瀕死の魚人をほっといて海にかえってしまったので、魚人もまもなく死にました。

 そんな夢。
 
お前はクトゥルフ神話にかぶれ過ぎです。
 しかし夢ってのは凄いもんですね。
 何一つそんな描写はないのに、自分が魚人である事や、女の子の両親の仇である事など、場面の背景事情が一瞬にしてわかってしまうのですから。
 きっと未来では、物語は夢を媒介に提供されるようになるんじゃないでしょうか。
 なんか、こう、うなじにコードとか突き刺してさ。寝ている間に物語の世界に!
 うひょぉサイバー。

 って、こんな事は先人が何十年も前に思いついてますかそうですか。

 しかしあれですね。
 背景事情の説明が一切必要ないと言う事は、つきつめて考えるとラストシーンだけで物語を作り上げるなんて事もできるんでしょうね。
 いやそもそも物語の体裁をとる必要すらなくなるのかも。
 強制的に感動や興奮を喚起させる、と。

 新手のクスリかよ。


6月12日

 ドログ・ラキアは採掘場(ドログ)である。
 ドログ・ラキアは寺院(マシホス)である。
 ドログ・ラキアは聖地(ファロ)である。
 ドログ・ラキアは神に至る門(デュトナ・リィ・オオンァト)である。

 坑道は、世界の多くの場所と同じく闇に閉ざされている。松明によって追い散らされる度に、無数の黒い長蟲が折り重なっているかのような濃淡が現れるのは、はたして気のせいなのであろうか。
 木枠にて形を定められている洞穴の中を、灰色の長衣に身を包んだ集団が整然と前進していた。揺れる袖からわずかに見え隠れする上腕部には、二振りの剣に刺し貫かれた眼球を抽象的な筆致にて描いた刺青が施されていた。全員があつらえたかのように曲刀を佩き、長弓を背負っている。いずれも鏡海の鋼水を溶けた鉄と混ぜて鍛えた聖性灼かな武具であった。ゆるやかな長衣は頭の上半分をも覆い、その顔も表情も見て取ることはできぬ。人数は五十を少し超えるほど。
 絶対観測者(アザロトレ)の徒。狂猛なる神の僕達。大陸において最も強大で獰猛な勢威を誇る大教団、《(みなごろ)すものども》の尖兵。神への愛に身を焦がし、異神を殲滅せんと蠢動する、狭窄した視野の軍勢。球殻都市に潜入し、球殻都市を封鎖し、球殻都市を襲撃し、球殻都市を鏖殺した三百余名の戦鬼ども。
 精鋭たる五十余名が、ウヴァ・ラキアの真下に位置する蠍神の御殿を侵し征く。
 抵抗らしい抵抗にも遭わずに侵し征く。
 隊伍を組んで、整然と、僅かな乱れもなく。
 狂いなき進軍の足音の中に、一つだけ異質な音が混じる。ひたり、ひたりと軟質の、子供が裸足で歩いているかのような音。無論、殺意に身を焦がす死軍の中に、かような幼子が混じるはずもない。
 それは足音ではなかった。
 その者が歩行する際に発生する音ではあったが、しかし足音ではなかった。ひたり、ひたりと滑らかに、その者は歩みを進める。隊列の央にて、堂々と。
 彼の容貌を見て、一目で人間だと見抜ける者は少ない。大まかな輪郭からしてすでに人類を逸脱していた。いかなる怪異に身を襲われたのか、彼の体には下半身が存在していなかった。肋骨の歪曲した下辺から下にあるべき下腹や両足が、そこにはなかった。がらんどうであった。盛り上がった肩から伸びる奇形じみて長大な両腕が床を踏みしめ、小さな上半身を前に運んでいる。その異形は、遠目にはアンバアンの沙漠を馳せる汚猥な逆関節二足歩行生物にも見えるであろう。断絶した胴体の断面はくすんだ灰白色の肉に覆い尽くされ、皮膚との境界線上で盛り上がっている。そして――
 その覆肉の中央部、皮膚を纏って下方に競り出ている肋骨に抱かれるように、桃色の綿のようなものがわだかまっている。否、蠢いている。原形質の粘液が糸を引き、松明の明かりを反射した。
 腸、であった。本来、腹の中に押し込まれているはずの消化器官が外部に露出している。それ自体が一個の生物であるかのごとく、存在しない腹腔の中で絶えず身じろき、微かに湿った音を立てていた。
 その姿は、骨肉を纏った狂気。
 盲目の魔狩人クトディガリヌ。《夕闇にて見下す者アザロトレ》の契約者。全を見抜く神性の使徒には不似合いな事に、かの眼窩には暗く陰った空洞があるだけであった。無論、彼にとっては何ら問題とはならぬ事柄なのだが。
「前方の広間、敵」
 クトディガリヌは渇いた呟きを漏らした。
「数はいかがか」
 傍らに侍る灰装束の信徒が聞く。
「四十七。内三名は契約者なり」
 前侵を続ける《戮すものども》の間に、僅かな緊張が奔る。
「憂うな。かような辺境の小神ごとき、我の敵対者足り得ぬ。お前達は蠍にたかる小虫どもを誅戮せよ」
 静かな、しかし強壮な力が滲み出たかのような声が、信徒達の微かな動揺すらも完全に沈めた。
「征くぞ、至高神(アザロトレ)の子らよ」
「応」
 五十余のいらえが、低くはっきりと唱和した。


6月4日

何故急に改装などしたのか?
何があったのか?

更新履歴提示をトップで行うためです。

あれです。
このくっっらい弱小サイトの掲示板など一見さんはまず間違いなく見ないという基本的な事実に最近気付いてしまったのです。おお、なんということでありましょうか。

しかしトップページに新たに更新履歴の欄を作るのはなんかめんどい。

だからです。
ただそれだけ。

と、いうわけで。

短編の閉鎖なんとかに16を追加、と。


6月3日

どうよ。
どうよこれ。
お洒落で小粋なテキストサイトになった? なっただろ? なったと言え。さっさと言え。

相も変わらず素材とか画像とかそういうものが一切ない超手抜きサイトなわけですが、実はただ面倒臭いだけなどという宇宙的シークレットはボクとキミだけの秘密だよ。ハハ照れるなよ。
しかもなんかレイアウトに微妙な違和感が。

慣れの問題?


6月1日

サイトを改装しようと思ってます。
あれです。
いま流行の構造改革というやつです。
ボクのサイトは聖域だらけです。

お前らそのニュースも見ない落伍者を見るような目はやめて下さい!

あれです。
とりあえず日記をトップページに置こうと思います。
これで螺旋の尖塔もお洒落で小粋なテキストサイトに早変わりですよ。

お前らその現実を直視できないオタクを見るような目はやめて下さい!

バカにしないで下さい。
いつか全宇宙の存亡を賭けた闘いに巻き込まれた時のための備えはバッチリなんです。
たまんねぇなオイ。


5月30日

やっとズールに負けまくった理由がわかりましたよ。

俺、防御してねぇじゃん。

というかそんな基本操作も知らずにしたり顔で戦闘シーンの寸評を行っていた自分にフォーリンラブ。

あたかもサツマイモを海水で洗う事を覚えた猿のごとくに防御をマスターしたひよこ侍は、わりとサクサクとライバル達から勝利を勝ち取り、ついにエンディングを迎えたのでありました。
防御最高。
防御万歳。
防御さえあればどんな強敵もへっちゃらです。うっはは〜い!

そんな後ろ向きなプレイスタイル。

それはそうと、どのエンディングも寂寥感漂う内容で、朝っぱらから微妙にやりきれない気分に。
いやまぁ、こんなストーリーでエンディングだけ大団円!とかされても困りますが。


5月26日

最近、巻き肩に悩んでます。姿勢が悪いとなるアレです。英語で言うと「スクリューショルダー」です。
うわカッコイイ。突進技か。

ワタクシ、昔から格闘ゲームのできない男でして、ええと、なんかよくわかりませんがディレイとかキャンセルとか、そういう高度っぽい駆け引きを生まれてこのかた一度も経験した事がないんですよ。で、そういうことのできる人たちの戦いを見て、あぁーいいな畜生羨ましいなオイ、と。

つぅか主に3D格闘ゲームで言える事なんですが、ぶっちゃけ技多すぎじゃねぇ?

なんか雑誌の攻略記事とか見て、五十個くらい技があったりするんです。

覚えらんないよ!

そして違いがわかんないよ!

つぅか四、五個くらいしか使わないよ!

しかも違いがわかんないよ!

攻略記事で「強い」と太鼓判押されてる技も何がどう強いのかわかんないよ!

やっぱり違いがわかんないよ!

なんかの大会で優勝する感じの人たちって、こういう技とか全部覚えてて状況に応じて使い分けたりできるんでしょうなぁ。ほんと想像を絶する領域ですね。開発者もそういう駆け引きが行われる事を意図して攻撃判定とか色々設定してんだろうなぁ。もう完全に入り込めないって感じです。

で、この前いつものよーにベクターで「あぁ〜、ラクしてタダで面白いゲームとか手に入んないかなぁー。ぶっちゃけシェアウェアなんて眼中にねぇしー」などとゲスな事を考えながら見ていたら、

こんなものが。

いや〜、ハマってます。すげぇおもしろい。戦闘が格闘ゲームっぽい感じなんですが、「俺、駆け引きしてる! 高度っぽいバトルしてる!」と錯覚できてしまうくらいよくできてます。強制イベントでもないのに「お互い攻め込む隙を見いだせずに剣を構えたまま膠着」状態を疑似体験できるゲームはそうそうないんじゃないかな。って、これはプレイスタイルにもよるのかも。

容赦のないシナリオ展開もすごいグッド。超グッド。

現在、卑剣使いズールに凄い勢いで連敗中です。ホント強ぇなコイツ。
むしろゲームオーバー時に出てくるイラストが軽くトラウマに陥りそうなくらいに凶悪なので、負けるのが怖くて仕方がありません。ヒィ。


5月25日

 終末の秋のごとき黄昏が、ウヴァ・ラキアの外殻に赤銅の鈍光を投げかけていた。荒野に鎮座するその巨大な黒き半球は、しかしいささかも斜陽を照り返しはしない。あたかも、すべてを呑み込む坑のごとく。
  死を告げる禽鳥の群れが枯れた呻きを垂れ流し、見上げる人々は今日もまた世界の絶望を感じ取る。ドログ・ラキアの闇底より切り出された暗黒の呪い岩が形作る都市外壁は、中からの光を通さずして外の光景を住民達に映し出す。《飢えし大蛆》が堕胎せし眷属の群れが夜ごとに押し寄せて肥大した口腔を擦り付けてゆく故に、防壁は粘液にまみれた球状の喰い跡が無数に穿たれていた。
 されど、彼らが這い寄ってくる時刻はもう少し後。痩せ衰えた土壌から最後の活力を搾り取る作業を終えた農夫達は、ことさら急ぐことはなく、急ぐ気力もなく、疲労に歪んだ骨格の浮き出る体躯を丸めて街の門をくぐってゆく。
 ウヴァ・ラキアの内部には、粘土と植牙蟲の糞尿をこねて焼き固めた煉瓦による集合住宅が極めて密に林立し、それぞれの間に無数の橋が渡されていた。奇怪な臭気が全体に淀んでいる。都市を半球状に覆い尽くして住民達に安全をもたらした黒き外壁は、しかしそれゆえに内部の環境を劣悪なものとした。通気や衛生という観念は失われて久しい。外球殻の天井にまで届く住居塔は、常に崩壊の危険を孕んでいる。限られた空間に大人数を押し込めるための苦肉の策であった。
 そこは魔窟。孤独の神《七つ眼の老いたる蠍オオンァト》は君臨せり。
  外壁を透過して夕陽が降り注ぎ、澱のごとき都市の陰を際立たせている。おのおのの家路をゆく人々は、不意に、病める竜の呻きにも似た軋みを耳にした。力感なき雑踏の中で、何人かはその音に反応し、振り返った。都市の出入り口を覆う大黒門が閉ざされようとしていた。かの両脇には見慣れぬ灰装束の男が二人、門の開閉を司る歯車に繋がった木製の桿を握りしめて動かしている。
 今宵はやけに閉門が早い。
 さしたる疑問も抱かず、農民達は歩みを再開した。彼らは狂わしき孤独の神気を日常にて浴び続け、理知的な思考をし難くなっていた。複眼の神の奴隷達は、ただ己の主に奉仕し続ける。そこに明晰さは不要。
 突如、発狂せし赤子の断末魔が薄闇を切り裂いたかと思えた瞬間、道ゆく力なき者の上半身が爆ぜて赤い霧と化した。引き延ばされ千切られた血肉が路に叩き付けられる。肩から上を一瞬にして失った男は当然の理として絶命し、崩れ落ちた。残されたる下半身の破砕面は、渦に巻き込まれる形で骨肉がささくれ立ち、脊髄は引きずり出されて捩じれている。それはあたかも、横向きのごく小さな竜巻が彼の体を掘削しながら通り過ぎて行ったかのようであった。
 人々は不安げにざわめいた。ざわめくだけで悲鳴の嵐にはならぬ。孤独の神の呪わしさ。
 赤子の苦しげな絶叫のごとき異音が幾重にも鳴り響いた。直後、足を止めて困惑する愚衆の肉体が、次々と弾けて飛び散る。ウヴァ・ラキアの倦んだ空気が赫く染まった。その場に大勢居た人間は、急速に、ことごとく、肉塊へと転じていった。死体にすらなれぬ。いまだ生き残る幼さの残る少年は、父親が原型を失った悲嘆もそこそこに、祈りを捧げた。自らの神に祈りを捧げた。身を隠す事も忘れて。
 大いなる《七つ眼の老いたる蠍》へと救いを乞うて。
 そして、見た。
 耳障りな金切り声と濃い血煙が乱舞する中で、石の路を深く砕いて突き立つ一本の冷たい鉄を。
 それは細かく裂かれた臓物や骨肉を纏っていた。それは歪に捩じくれ曲がっていた。それは鋼の柄に鋼の旋条が施されていた。それは、異形の矢であった。全長は少年の体よりなお長大。造り手の禍々しい意思を想起せずにはいられない、常軌を逸した槍のごとき威容であった。少年は、これなる異常な矢が遠方より飛来して周囲の惨劇を引き起こしている事に薄らと気付きかけていた。渦を巻くその奇妙な形は、飛翔の際に風を受けて回転を得、標的の肉を掘削するための仕組みのようである。が、一体どのような射手が、この持ち上げるのにも苦心しそうな矢を、しかもここから見えないほどの遥か遠くより射かけられるというのだろうか。矢が人体を破壊するに足る回転速度を獲得するにはどれほどの弓勢が必要なのだろうか。
 少年の溶けかかった頭脳がこの回答を得る事はなかった。
 鋼の暴風が、理不尽な迅さで少年の胸腔を喰い破り、壮絶なる遠心力がやせ細った手足をでたらめな方向に弾き飛ばした。

 都市に四つある出入り口はすべて灰装束の武装した集団によって塞がれていた。外敵を遮断する半球外殻が、孤独の神の信徒達から逃げ場を奪い取ったのだ。《七つ眼の老いたる蠍オオンァト》の領地ウヴァ・ラキアは、その夜、滅びた。


5月19日

で、勉強のためにホラーを買ったわけですよ。

「天使の囀り」
以下、背表紙の文を抜粋。
北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、なんということだろう、線の細い優男から歯ぁ光らせてるっぽい小ムキ風味の褐色ナイスガイへ華麗なる転身を遂げていたのだった……ッ!

最後は私の脚色ですが何か。
嘘は一切書いてませんが何か。

途中までしか読んでないけど、これは面白いですよ。
見ていて何故かやたらと腹の減る小説です。あぁ畜生肉喰いてぇなぁーオイ。アマゾンの奥地で得体の知れない野生動物とか殺して喰いてぇー。焼いて喰いてぇー。小さい頃からそういうのに憧れてたんですよ。虫が嫌いなインドア派だからそんな場所には行かないだろうけど。

……いや、まぁ、本文はしっかり怖いので安心ですのよ? 本当だぜ? アンハ?
でもこれをダークファンタジーに活かせるかどうかは微妙かも。とにかく最後まで読んでみます。

 

あと、今日はホラー以外でもう一冊買ってます。

「護くんに女神の祝福を」
ラブコメです。大陸に伝わる古い言葉では羅武虎滅とも書きます。
ラノベを書いているような類のオタクであるにも関わらず(そして萌えラブ話を投稿してしまったにも関わらず)、萌えに対して真面目に取り組んだ作品を今まで読んだ事のない我が身に途轍もない危機感を抱いたので、チンケなプライドを効果的に痛めつける表紙にも負けず、購入に踏み切りました。

感想。
んー。これ、ヒロインがちょっとばかし強すぎやしませんか? いや強いのはいいんですが、それに対して敵が弱すぎて、ほとんど危機感がありません。それでも一瞬で片付けて、単なる1エピソードで終わるのなら良いのですが、話の後半のかなり長い期間を敵への対処にかかずらっていて、ちょっと冗長かと。
しかも最後の方、超能力を持つ主人公とヒロインが普通人間な敵をいたぶっているような感じがする(どころかほとんどそれが客観的事実) のがなんとも、萌え。

肝心のラブコメ部分は、うん、良いと思います。というかどんなとんでもない萌えファクターが飛び出すかとドキドキしていたのですが、以外と想像の範囲内に収まっていたのでちょっと安心です。家族で楽しめます。


5月11日

関の山を「かんのやま」と読んでいたすべての毛唐かぶれどもは、いまごろきっと、星になって僕たちを見守っているよ。

ダークファンタジーについていろいろ考えたり練ったりしているわけですが、どうも怖い文章というものが私には書けないような気がしています。

ゾンビの大群とか触手いっぱいの萌え肉塊とかが出てくるだけでは読者は怖がってはくれないように思うのです。それらをおどろどろしい語彙で描写しても、やっぱり怖くないような感じがするのです。

これは単純に私の雰囲気作りの下手さや筆力の貧弱さが招いている事なのか、それとも怖さを出すにはもっと別の要素がいるのか。それすらよくわからない。

で、今日思いついたんですが。

舞台が剣と魔法のファンタジー世界である事も、ひょっとしたら怖くない原因の一つかもしれません。

例えば、

仕事帰りでも学校帰りでもなんでもいいですが、とにかく真っ暗な場所を歩いていて、いきなり道端で脳や臓物をはみださせた人が歩いていたりしたら、そりゃぁ怖いとは思うんですが――

この場面を剣と魔法のファンタジーに当てはめてみると、読者は「きっとこれから戦闘シーンだな」とか「あぁゾンビか。ザコだな」ぐらいにしか思ってくれないんじゃないかと。

現実ではわけのわからない恐怖の存在が、ファンタジーでは経験値の元になってしまう。

「ファンタジーだし、まぁそれぐらい居るんだろうよ」という認識。

不幸な事です。

これをなんとかするには、どうすりゃいいのか。

思うに、物語の前半は雰囲気を牧歌的にしてみるという事をしてみたらどうだろうか、と。普通に剣士とか魔術師とか主役に据え、適度に面白い展開も用意する。ゴブリンとかドラゴンとか、良くある敵と戦わせる。笑えるシーンとか恋愛とかも織り交ぜる。
そして読者は「あぁ、これはそういうファンタジーなんだな」という認識をもって物語を楽しむ。

そして後半。

邪神どもが登場するのです。

雰囲気は一変します。登場人物たちは邪神に魅入られ、精神的あるいは肉体的に異形と化します。街には腐臭があふれ、死と狂気が蔓延します。阿鼻叫喚。血肉と腐汁がしぶく殺戮活劇の始まり始まり、と。

……しかし良く考えると、これはインパクトはそれなりにありますが、怖いかというとなんか違うような……

まぁそれ以前に、読者がはたしてそんな事を望んでいるのか……という根本的な問題があるんですが。

ううん……。


5月2日

ねぇねぇ、一緒に悪の組織を作ろうよ。
ぼく、頭領。
きみ、ザコ戦闘員。

 

 



すごい勢いで眼を背けるお前らの姿が眼に浮かぶようです。

哀れまれることなんてもう慣れっこです。へっちゃらです。フ〜ンだ。

今日、ゴミ箱を漁りました。

……いや、何故と問われても。
とにかく漁ったんです。疑問を差し挟むな。あれこれ想像すんな。あと蔑むの禁止。超禁止。

そしたら。

何故か。

電撃に送ったはずの。

恥ずかしい萌えラブファンタジーをプリントアウトした紙が、一枚だけ。

……えっ……?

何、これ。

なんでこんなところにこんなものが。

しかも最後のページだし。

おいおい。

ボクはちゃんと全部封筒に入れて送ったはずですよ?

今更になってそんな、最後のページだけ送り忘れてるなんて、そんな、致命的なオチ、ハハ、あるわけないじゃないか、そんな、ねぇ?

……あるわけ……ないよね……フフ……そうだよね……そうだよ……そうだと言ってよ……ねぇ……誰か言ってよ……安心させてよ……わけもなく不安でたまらないんだ……なぁ……笑い飛ばしてくれよ……そんなことあるわけないって……断言してくれよ……なぁ……そうしてくれよ……頼むよ……


4月24日

うー、書評コーナー作らないとなー、でもめんどくさいなー、つぅかどうせラノベしか読んでないんだしわざわざ作るほどのコンテンツでもない気がするなぁー…………のような怠惰極まりない思考ループの果てに、よくよく考えてみればいちいち書評コーナーなど新設せずとも日記でやってしまえばいいじゃねぇか!という衝撃の新事実に気付いてしまったバール。今、「気付いて」と打とうとして「築いて」にしてしまいました。

……あー、俺も脳内帝国の脳内愚民どもに無茶な重税を課して無駄にでかい宮殿とか築きてぇー……
(単語に触発されて秘めたる願望を不意にチラリズム)

そんな自然な流れで始まった書評コーナーin日記ですが、とりあえずこのごろ読んだ本でも。

・司星者セイン
 無闇に神々しいルックスのなんか重大な秘密を秘めてるっぽい少年が主人公のファンタジー。 主人公のわりに仲間の剣士に完全に出番を奪われているあたりがきっと萌えポイントに違いありません。
  なんかいろんな種類の凄い奴らが入り乱れて大バトルなわけで、これぞ俺の求めたラノベ!って感じで非常に燃え。重厚な文体も好み。お願いだからいい加減続き出して下さいベニ松先生。

・バトルロワイアル
 今更それはないだろうと我ながら思いますが、久方ぶりに読んでみたらやっぱり面白かったので。
  ありえないほど個性豊かな中学生の一クラスが孤島に連れて行かれて殺し合うお話。とりあえずこいつら絶対ティーンエイジャーじゃありません。特に川田とか三村とか。頭良過ぎ! あと冷静過ぎ! でもこれぐらいじゃないと戦わせても面白くないだろうなぁ、という作者サイドの事情はとても良く理解できます。えぇ。
 とりあえずみんながんばった! 川田も桐山も相馬も杉村も千草も三村も内海もがんばった! 超がんばった! あの世では仲良くな!

・ばいばい、アース
 やたら分厚いハードカバー上下二巻という、ただそれだけで読者を威圧する体裁のファンタジー。なんかもう、この独特過ぎる文体について来れるか否かが読了の鍵でしょう。後半に至ってはなんかすごい場面である事はわかっても、具体的に何が起こっているのか読解できないシーンが続出です。
「俺たちが本当に再会するのは、大いなる懐疑が俺を超えて問われるときだ。もはや言葉も答えもなく、懐疑の闇が咲き誇るとき――そしてそれが止揚され新たな光と闇の果実をみのらせるときだ」
 駄目だわからないよ! 何の暗喩だよ一体!
 まぁでも、話の内容そのものは激しい戦闘あり、恋愛あり、主人公の成長あり、仲間の死あり、と非常に面白く、お勧めです。あとお色気もな。

・呪禁官
  なぜか突然魔術が有効になった近未来のお話。違法な呪術を使ってる奴らをしょっぴくお仕事、それが呪禁官だ! でも主人公は呪禁官じゃないぞ! 卵だぞ!
 登場人物の中に魔術を憎んで科学を信奉する男が出てくるんですが、個人的に彼が非常にイカしてます。
 魔術で造られた魔物をハイテク兵器で撃破した時に一言、
「科学の力を思い知ったか」
 ……出て来た時から言うんじゃないか言うんじゃないかと思ってはいましたが、まったく、読者の期待を裏切らない男です。ちなみに彼、第二巻では科学戦隊ボーアマンなる組織のボーアレッドに収まってます。
 マヂで。

・アラビアの夜の種族
 途轍もなく面白い本を侵略者の親玉に送って骨抜きにしちまえ!という魂胆のもとに紡がれる物語の内と外。えーと、階層は三層くらいなのかな? まぁとにかくやたら重厚なハードカバーにやたら重厚な出だしで僕たちラノベ読みを威圧してくれる本なわけですが、内容はまるっきりラノベです。剣と魔法の。
  一番のお気に入りはやはりアーダム! 否、アーダム様! 思わず様付けで呼びたくなる偉大な悪役! 彼が成り上がってゆく過程は実に痛快。
 全編通じて一番輝いていたのはきっと彼です。その他のイケメンどもは……まぁ……フツー?
 あー、ボクもアーダム様の大帝国で虐げられたい……ッ!
 ほんのささいなミスでご自慢の超魔術によって派手に惨殺されたい……ッ
 どうでもいいけどイブラーヒーム・ベイは黒幕のくせに目立たなさすぎだ(ネタバレ反転)と思います。

・異国伝
 なんというか……コメントに困る作品です。さまざまな架空の国の奇妙な話がたくさん集められた短編集なのですが、一つ一つの話の意味がわかりません。さっぱり。全然。
 何かの寓意があるわけでもなく、さりとてエンターテイメントに徹しているわけでもなく、ひたすら「なんでそうなるんだよ!」と大声で突っ込みたくなる話が盛りだくさん。これは何年か期間を置いてもう一度読んでみようと思います。難解過ぎです。
 でも途中、あからさまなスターウォーズ批判があったのはちょっと笑ってしまいました。

・あなたの人生の物語
 こちらも短編集。SFで、やはり難解ですが、なんとか理解できなくもないです。一番のお気に入りは表題作の「あなたの人生の物語」。ラストは不覚にもジワった。エイリアンとの交流の過程も面白い。
 印象的だったのが「理解」。すごい勢いで頭が良くなるお薬を打たれた主人公の一人称で描かれる話ですが、「うわああ凄い頭良くなってる!」感がひしひし。最後の方では凡人たる私には何をやっているのかすらさっぱりわからねぇ感じになります。「ゲシュタルトがわたしを呼んでいる」は日常でも積極的に使っていきたい台詞です。意味は全然わかんねぇけど。


4月16日

どうでもいい事ですがゲンユウサイの五幹部の名前を全員思い出してしまったのでこのタイトルはもはや無意味かつ無駄ではないかなぁなどど思考する今日この頃。初期パーティーメンバーのシシマルは実は元幹部です。ホントビックリですね。

そんなトリビアルな知識を披露して鼻高々に胸を張る20歳男児に萌えろ。哀れむな。萌えろ。いいから。

ダークファンタジーが書きたいなぁ、と考えています。最近、約束だの閉鎖(略)だの善人しか出てこない話ばかりで、ほのぼの過多による中毒症状が出そうです。グロを! もっとグロを!
以下、その嘘予告。こんなもん書いてる暇があったら既存の連載作品を完結させろという苦情は、常時受け付けております。

 

卑小なる人の営みを、ただ暖かく見守る神がいた。

屍術師
糜爛の神《ヴィラ・ディチビラアト妄塔マウキレカスの永夢》の契約者。死体を解剖学的に腑活して使役する青年。思念を収束して飛ばす指揮剣によって、死者の軍隊は一糸乱れぬ作戦行動を可能とする。ただし死体そのものに意思があるわけではないので、屍術師のそばにいない死人はほぼ無力。
 あるいは彼が遭遇した邪神は、一個の存在などではなく、この腐り蕩けた世界を動かす仕組み、その一部だったのかもしれない。“それ”の呪いによって意識と魂を引き裂かれた青年は――その片割れたる意識は、喪失した自己そのものを取り戻すために邪神の獰悪な指令を遂行し続ける。冷厳極まる彼の思考は、邪神に従う合理的な理由など何もない事をとうの昔に理解していたが、存在的な欠落を抱えた者にとって、己自身との再会はいかなる欲求をも超えた絶対的な義務として、ただそこに在り続けていた。

全てを創造し、己の分身として人を造り、彼らが健やかに生きる事を願った神がいた。

神剣の虜囚
鏖殺の神《ンルギレムの殺す風》の契約者。邪神の偶像であり、邪神そのものである魔剣に振るわれる肉人形。剣にはそれまでに犠牲となった戦士達の記憶が封じられており、それらを統合した窮極の殺戮剣術を所有者の体に刻み込む。僅かでも傷つけられた者は魔剣を所有したいという強い欲望に駆られる。
 それは禁断であった。強過ぎる力ゆえに、他の邪神どもによって封縛されていた一柱の憑物神。非物理的堅牢さによって、この世の終焉まで在り続けるであろう絶対存在。一振りの刃であり、鋼の形を纏った殺戮の意志。それを手に取った者は、まさにその瞬間から意識そのもの精神そのもの存在そのものを撃殺され、否定し尽くされる。意思と引き換えに力を与えるなどという尋常な契約ではない。ひたすらに、神の剣のみが利する一方的略奪。かの刃は永遠に止まる事はない。冥い空が冷えて死ぬ、その刻まで。

善人には祝福を、悪人には慈悲を、貧民には糧を。

盲目の魔狩人
傲慢の神《夕闇にて見下す者アザロトレ》の契約者。五感とはまったく異なる空間認識能力を持つ小男。周囲数キロに渡る範囲の事象を全て肌によって把握する。携える鈍色の長弓は、偶発的なイレギュラーが発生しない限りにおいて精密無比。力の代償として自らの眼球と両足を邪神に捧げている。
 彼の容貌を見て、一目で人間だと見抜ける者は少ない。異様に長く発達した両腕は明らかに人間の規格を超えているにも関わらず、それ以外の部位は極めて矮小であった。下半身が存在せず、常に手を用いて跳ね回るその様は、見る者に寒気と狂気を与える。彼は魔狩人。至高神《夕闇にて見下す者アザロトレ》以外の神々を悉く撃滅する事のみを思考する、肉で造られた殺戮機械。あらゆる事象を正確に把握する邪神の力を受け継いだ、世界を正しく識る観測者。無機的なまでに冷酷な必中の狙撃手。

病人には活力を、戦士には勇気を、死人には安らぎを。

異形の剣士
豊穣と色欲の神《飢えし大蛆》の契約者。父親であり恋人であった男の両腕を自らの肩に癒着させた少女。邪神の力によって骨格や神経まで完全に定着している。凄まじい膂力を持ったその腕は、少女には本来扱えぬ巨剣を二つ振り回す。喉に開いた第二の口は人外の発声器官と化し、邪神の呪い詩を常に呟き続けている。
 幼少期から、彼女の精神はすでに邪神《飢えし大蛆》に捕われていた。常にその身を責め苛む欲求に狂い突き動かされ、最も身近にいた雄――父親と関係を持つ事となる。邪神を畏れ、逃げ出した父親を惨殺した時、少女の溶け歪んだ心は果てしない喪失感によって砕け散る。身も心も一つになりたかった男の、辛うじて原型を留めている部位――両腕を自らの肉体と癒着させる事によって、狂った思考は一時的な充足を得た。だが、足りない。日に日に増してゆく欲望。彼女の切望に、邪神はちゃんと答えを教えてくれた。

世界に存在する、全ての民草に。

不死人
輪廻の神《真なる虚の裏側より来たる》の契約者。いかなる事態になろうとも決して滅びることのない呪われ人。不死ではあるが、老化は止まらず、二百年を生きた彼はほとんど乾涸びた死体と区別がつかない。幾多の死病を抱え朽ちてゆく体は極限の苦痛を発し続け、彼はそれから逃れるために邪神に贄を捧げんとする。
 永遠の命が欲しい――そう願って探求を続けて来た事が、これほどの罪だったとでも言うのだろうか。邪神《真なる虚の裏側より来たる》は確かに彼を永遠不滅の存在としてくれた。だが今のこの体は何なのだ。すでに死斑すらも崩れ落ちたこの体は。ただ、風化と病の苦しみのみが残っていた。邪神はそっと彼に耳打ちする。我以外の邪神の徒を贄に捧げよ、さすれば汝は解放される――と。彼は何度も頷き、その甘言に縋る。だが、彼の老い病み崩れた肉体はほとんど無力に近かった。邪神の嘲笑が、幾重にも木霊している。

限りない恩寵を与えた慈愛の神がいた。

死霊術師
墓標の神《屍肉を食む黒山羊》の契約者。死体を神秘学的に腑活して使役する魔人。驚異的な呪術の数々を使いこなす。野良の雑霊と土塊から下僕を造り出し、また、手駒としてではなく部下として、三人の偉大な闘士達の英霊を従える。それらの取り憑いた死体は強大な戦闘能力と知性を有し、死霊術師と別行動をとる事もできる。
 空前絶後の妖術師。人の身で人を超えた男。史上ただ一人、邪神と対等の密約を交わした魔人。その妖力は邪神の悪意すらも牽制し、契約によって縛り上げた。半ば神に近かった英雄達ですら、今では彼に無限の忠誠を捧ぐ僕となる。形而下において彼以上の存在はない。彼は世界で一人、真に自由な人間。何者も――邪神ですらも、彼の行いを禁ずること能わず。彼は頬を歪める。最後の領域に到達した者の、それは達観であり倦怠であった。邪神に捕われ弄ばれる者達を、ただ冷ややかな眼で見下していた。

――かつては。


4月10日

辛勝を「からしょう」と読んでいたすべての非国民どもは、結婚しよう。

なんか四ヶ月以上のブランクです。くわしい事は掲示板のほうでも見てください。
それ以前に誰もこのページなど見ていないというオチが来るのかもしれませんが、いいんだよそんな事は、どうでも。

電撃大賞に応募しました。やぁっっっと応募しました。
もうね。
執筆してる時思いましたね。

「なんでボクはこんなバトルもない萌えラブファンタジーなんか書いてるんだろう。」

――と。
まぁ、隠匿された四ヶ月の間に バールのオタクレベルが急上昇したらしい、ってことで。
落選が判明し次第、尖塔に晒しまス。


11月21日

またヴァルキリープロファイルやってます。
やっぱり面白いなぁ。ホント、こんなに戦闘が楽しいゲームも珍しい。

と、いうわけで今日の日記はこのゲームを知らない人にはまったくもって意味不明になると思われます。

プレイも三回目。自分なりに究極のプレイを目指してみたつもりです。

ひたすら敵を倒す事も忘れて魔晶石を稼ぎ出すのに躍起になっていたらどんなに頑張っても40個以上でない事に気付いて落涙したり、ひたすら壊れた槍を敵に吐き出させて上級原子配列変換した閃槍クリムゾンエッジをMP変換し無駄 かつ無意味にマテリアライズポイントを稼ぎまくったり、ひたすら有り余ったマテリアライズポイントに物を言わせて魔剣グラムを三本創って前線三人のおそろいにしたり、ひらすら高ヒット数を叩き出す事に拘泥してどんなにがんばっても99ヒットまでしかしないことに気付いて愕然としたり――
実に熱い五十時間でした。何故かとても挫折が多かったけれど。

……眼にごみが入っただけさ。

気が付いたらラストダンジョンは蘇芳、バドラック、ガノッサの超萌えパーティで挑んでいました。背後から迫る謎のプレッシャーにヴァルキリーも冷汗です。
……最強魔術師のガノッサはいいとして、なんでよりによって使いにくいこの二名なのか。
自分をちょっと好きになれそうでした。


11月18日

今日、人様にお見せできないほどの勢いでモンブランを貪り喰いました。
味もさることながら、デザインが逸品でした。
茶色のマロンクリームがとぐろを巻いているあたりに、制作者の高い知性を感じさせます。

 

とても、あまくて、おいしかったです。

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