11月24日
きょおはにくをたらふくむさぼりました
ミアールと私は心持ち歩調を速めた。
事件現場はごく普通の木製家屋。いや、むしろ小さい位か。周囲の建物と闇に半ば埋もれかかっている。確認できるのはほとんど輪郭のみだ。
「おかしいな」
ミアールが呟いた。私は彼に眼を向ける。
「普通なら非常線張って、警備隊員がいっぱいいて、野次馬とかもいて、てんやわんやのハズなんですが……」
二人の靴音が白々しく響く。
「見た所、人の気配はないな」
「ですよねぇ?」
胸の裡に黒く冷たい塊が居座った。
我々は更に歩調を速めた。
家屋が近付いて来る。粘度を持つ闇の中から。
漠然と感ぜられる、負の瘴気。怨念。一歩進む度に、濃度が上がる。
ミアールが引き攣った悲鳴をあげ、足を止めた。
その眼は一点を凝視していた。
私は構わず歩みを進める。前を見据える。
まず眼に入ったのが、壁面に散らされた血痕。
だが、すぐにそれだけではない事に気づく。
土壁が煉瓦が石畳が、現場の周囲一面が。
朱く、紅く、赤く。
あたかも奇怪な前衛絵画のように。
「派手な事だな――」
一人や二人の量ではない。少なくとも十人以上はこの場で殺されている。
恐らくこれは、都市警備隊員達の体内を循環していた生理食塩水だ。
「――反吐が出る程に」
わざと派手に事件を起こし、捜査に来た隊員をも手にかけた――と言ったところか。
事件の発覚がやけに早かったのも納得がいく。
私は赤い領域に踏み込む。石畳を踏み締める度に生々しい音がする。残留する怨念の悲鳴も混じっているのかも知れない。
血の海。だが遺体はない。
あの呪術師の事だ。死体を賦活し、新たな僕にでもしたのだろう。
だが何故だ。
都市住民を殺して遺体を奪い去ったのは、“手駒”を増やす為と見ていいだろう。だがそれはあくまで手段に過ぎない。ルダモットは“手駒”を得て何をしようと言うのか。
「うう……」
粘つくような足音と共に、ミアールが追い付いてきた。口元を押さえている。
靴ごしの感触が、生臭い血臭が、何よりほとんど霧のような濃度の瘴気が、彼の胃袋を締め上げるのだろう。慣れぬ
者には有害ですらある状況だ。
「なんで、こんなことするんでしょう……うう」
「さあな」
現場の家屋を一瞥する。
「中に入るぞ」
ミアールは赤く張れた眼を向けてきた。
「や、やめときましょうよ……絶対悪い事がありますよ……」
明らかに怯えた眼だった。
「そうか、ここで待つのか」
「……お供します」
再び、粘着質の足音が二人分。
血塗れの扉が、歪な悲鳴を上げながら顎を開いた。
しばらくにくはみたくありません
かゆ うま
11月8日
今更言うまでもない事ですが、私はジャリ&ヲタ向け小説(またの名をライトノベル)が大好きな野郎です。何と言っても戦闘シーン含有率が一般 向け小説と比べて桁違いに高いのが大きいですな。そして読みやすくて分かりやすい上に、現実逃避の手段としても最適です。
んがしかし。
そんな素晴らしい小説達にも、一つだけ「もうちょっとどうにかなんねぇのかオイ」と言いたくなる所が。
ぶっちゃけ、表紙ね。
ええーと、要するにアニメ絵。萌え絵ってぇ奴でしょうか。可愛らしいタッチで描かれているものがあります。
なんと言いますかね、買う時困りますよ、ホント。少なくとも十代の半ばもとっくに過ぎたような野郎が買って良いような雰囲気ではありません。
必然、私がレジにもって行けるのは比較的硬派な表紙のものに限られてきますが――これがねぇ……少数派なんですわ。
富士見ファンタジア文庫っつぅレーベルなどに到っては、見た限り全部アニメ絵。
……未だにあそこの棚には近寄れません。
ところで、「猫の地球儀」っつぅライトノベルを御存じでしょうか。
ネット界最大の荒くれ掲示板群(どことは聞かないで下さい)の住民達をして「ヤバいくらい泣ける」と言わしめた作品です。本読んで泣いた事など一度もない私としては興味津々でした。「うお、そんなに泣けるのか。こいつぁ名作にちげぇねぇ」――と。
んである日、見つけちまいました。「猫の地球儀」。
早速本棚から引っぱり出して確認。
……………………………………。
……………………………………。
……………………………………。
とっても可愛らしい表紙でした♪ キャッ☆
……………………………………もうね。どうするよ、と。素で小一時間悩んだ挙げ句、一つ思い浮かんだ妙案。
「硬派な表紙の本と一緒に買うかァ!!」
……まるっきり世間体を気にする気持ち悪いヲタの行動ですね。まぁ、そのものなんですが。
で、激しく茹でる小説「B・D・T 掟の街」と剣豪小説「秘剣雪割り」を一緒に購入。あー、ハズかった。
帰宅した後、早速「猫の地球儀」読んでみました。他の二冊は後回しです。
結論:まったく泣けませんでした。
それどころか、一体どの辺が泣き所なのかすらわからねぇと言った体たらく。……ねぇ、これって俺の読解力が足らないだけ? それとも俺の感性が歪んでるの? ねぇ、どうなの? ねぇ!!(錯乱)
10月31日
日々、鬱々。
最近バトルが書けないから。
……えっれぇ安い鬱だな、オイ。
(※前置きです)
「アイオーン」と言う小説を買いました。なんか分厚くて改行もほとんどない話だもんで、読むのにえれぇ苦労しちまってるわけですが、一つだけわかったことがあります。
主人公(男)はショタコンですよ、奥さん!!
……ごほん。
「グレイヴディッガー」ってぇ小説を読み終わりました。タイトルがカッコイイから買ったんですが――これ滅茶苦茶面白れぇ……ッ!
自らの更正を望み、転機として骨髄ドナー登録をした小悪党・八神。八神を何故か付け狙う組織『ミニスター』。これまた何故か骨髄ドナー登録者を殺しまくる謎の殺戮者グレイヴディッガー。ついでに警察。
早く病院に行かないと骨髄を待つ白血病患者が死んじまうぞ! ガンバレ八神! いけいけ八神!
……な、感じの話です(ェ)。
スリリングな展開や、どんでん返しに次ぐどんでん返しもさることながら、銃で武装した警察部隊をたった一人で圧倒するグレイヴディッガーの超戦闘力におぢさんもうメロメロだよ……ッ!
10月20日
ねぇ貴様ちゃん? なんで21日に書いたのに20日と言う事にしちゃったんだい?
魔導街灯の明かりは、道筋を照らす照明であると同時に自然発生する魔を祓うための浄化機構でもある。都市中枢部の大石塔――レティーヴォ王の墓標にして大規模な魔力発振機関――より供給される未分化の魔力を、『光』と言う形に変換しているのだ。
基本的には、魔は光を厭う存在だ。魔導街灯を建てれば、存在論理の薄弱な魔なら追い払う事はできる。ただ――
それは同時に、都市全体の呪的位相にムラを生じさせる事にも繋がる。ムラは灯の届かぬ
場所に闇の淀みをつくり、淀みは存在論理の強固な魔物を生み出す。
愚かな悪循環。祓いきれぬ規模の魔物がこの都市に出現するのは、いつになる事やら。
数十年後か、あるいは数年後か。
私を先導して歩くミアールは、その事をわかっているのだろうか。
「ええと、この先だったと思います。多分、きっと、恐らく」
「…………」
もし故意に不安を煽るためにそういう口調をしているのなら、即座に斬り捨てている所なのだが。
ミアールが不安げに周囲を見渡し、少し前進し、また周囲を見回すという単調作業を初めてから、どれくらい経ったであろうか。
「いつ現場に着く」
「だ〜いじょうぶですよ、もうすぐです」
このやりとりは何回目であろうか。本当にもう少しなのだろうか。そもそも目的地に近付けているのだろうか。このまま街の中をうろついているうちに夜が明けてしまわないだろうか。そうなった場合、私は彼に斬り掛からずにいられるだろうか。
「あっ! 見えましたよ!」
「……何?」
思わず聞き返してしまった。一瞬信じられなかったのだ。この男の案内で無事に目的地に着く、だと?
バカな……
「何ですか、そのあからさまに驚愕したような顔は」
「いや……」
しかも壮絶に短いし。
10月5日
『斑鳩』と言うゲェムを御存じでしょうか。
採算を度外視した(としか思えない売り方の)アクションやシューティングをバシバシ世に送りだしているゲームメーカー・トレジャーが、ドリームキャストの最期を看取るために売り出したシューティングゲェムです。
……微妙に喧嘩売ってるよーな言い方ですが、『斑鳩』は実におもろいです。
と言うか、トレジャーが出すゲェムは例外なく良質な気もしますが、これはひょっとしてトレジャーと言うブランドイメージに騙されているだけではないのかむしろお前最初斑鳩やった時「なんだこれつまんねーな。ま、トレジャーだからやり込めば面
白くなるんだろう、トレジャーだから」 とか一瞬でも思わなかったとでも言うつもりか?え?違うとは言わせねェぞなんとか言ってみろやコラァ(誰に言っている)。
……ま、そんな経緯はどうでもよく。
面白く感じられるまで若干時間がかかると言う欠点があるにせよ、私の中ではパンツァードラグーンに次ぐ名作シューティングゲェムになっております。
チェーンボーナスが十回以上繋がった時に鳴る、あの文字ではなんとも表わし難い音が気持ちよ過ぎます。「あぁ、俺、高得点稼いでる」的な充実感で心が満たされ、明日への気力が湧いて来るかのようです(?)。
かなり凝ってるバックストーリーも中々興味深いです。ゲェム中では断片的にしか語られないので、いやが応にも興味が増します。「チャプター開始時のメッセージの意味とは?」とか「ラストに出て来るアレは何?」とか。物凄く妄想力が刺激されちまいます。
っていうかラスボスが『レイディアントシルバーガン』と同じ奴かよ!!
9月29日
週一更新短編〜。(四次元ポケット)
「……で」
その日の深夜。私は暗黒に没した小路を巡回していた。潮の匂いと波の音が闇を満たしている。ひんやりとした空気に混じる魚の生臭い残り香が、少しだけ不快だった。
セルツォーレ外周部の防波堤付近が、私の担当区域……らしい。
現在傍らを歩いている青年が言うには、都市内部は他の警備隊員が見回っており、何かあればすぐに私の所へ知らせを寄越すとの事だ。
「一つ質問がある」
「はいはい、なんでしょう?」
何故私が夜の見回りなんぞを、と聞きたくなる気持ちは押し殺しておく。ルダモットの現在位
置がわからない以上、地道な巡回をせざるを得ないのが現状だ。
「何故お前がついて来る」
私は軟弱そうな都市警備隊の青年を睨んだ。彼は酒場で話し合った後、一度警備隊の詰所に帰り、先程私の前に現れた所だ。
「嫌だなぁ、同じ事件を解決するために協力する相棒じゃないですか」
……いつお前が相棒になった。
私は軽く鼻を鳴らす。
「監視役、と言った所か。ここの警備隊も私を全面的に信頼するほど愚かではないようだな」
私は薄く口の端を吊り上げた。
「そ、そんな……」
「足手纏いと言うつもりはない。助けるつもりもないからな」
私の言葉に青年はやっと話せる、と言いそうな顔で目を輝かせた。
「その点なら心配ありません。僕はこれでも魔法撃たせたら警備隊一番なんですよ」
青年は少し得意げに胸をそらす。
……まぁ、どちらでもいい事だ。
「そうか」
それだけを返した。
私の反応に彼は少し落胆したようだが、
「あ、そういえば」
気を取り直したように青年は両掌を打ち合わせた。
「まだ自己紹介を済ませてませんでしたね!」
屈託のない笑顔を見せる。
「僕の名前はミアールって言います。貴方は?」
私はそれに答えようとして、止めた。
胸中で嘆息する。ありふれた問いだが、嫌な問いだ。
「名は無い」
「……え?」
「名は棄てた。今はただの“暗殺者”だ。それ以外に私を表わす言葉はない」
「はあ……」
名を相手に教える――それは、単に自分を識別する記号を教えるだけの意味では無い。自己の本質を、例え一部だけとはいえ相手に知られると言う事だ。
事実、呪殺呪文の目的語に名前を組み込めば成功率を飛躍的に高める事ができるし、強力な言霊魔術の中には相手の名を知るだけで支配下に置いてしまう物すら存在する。用心に越した事は無い。
少なくとも、私は仕事中には誰にも名乗らない。迂闊に名を教えたせいで、ロクでもない目に遭った事があるのだ。
「あの……じゃあ、暗殺者……さん?」
ミアールはぎこちなさげに――そして何故かバツが悪そうに――私に呼び掛けてきた。
私は彼に目を向ける。
「今まで言うの忘れてたんですが……」
「……何だ」
嫌な予感を抱きながら続きを促す。
「さっき警備隊の詰所に戻った時に、また屍人傀儡によると思われる拉致事件が発生したので貴方に知らせておくよう隊長から言われていたんです……」
「…………」
「…………」
冷たい沈黙がその場に横たわった。
「いつの事だ」
私は格別、押し殺した口調で問う。
「えっと……いまから一時間ほど前です」
それほど前では、今から現場に行っても追跡は無理だろう。
警備隊員ミアールは、早速鮮やかなまでの無能ぶりを発揮してくれたと言う訳だ。
「……現場まで案内しろ」
私は溜息混じりに言った。
追う事はできなくとも、そこには――物理的にしろ魔術的にしろ――なんらかの痕跡があるかもしれないのだ。
「はいぃ……すいません」
――だが、一つだけ確信できた事がある。
私は薄く口元を歪めた。
――ルダモットは、まだこの都市にいる。
戦闘シーンを、早く戦闘シーンを!!(口から泡飛ばしながら)
9月28日
ゴメン、これ最高だ。
9月27日
あ〜、書くネタねぇ〜。
な〜んて戯言は聞き飽きたっつーの。
……でも本気でネタがありません。読んだ本の感想でも書くのがベターっぽいですが、ここ最近マトモな本にしか巡り合えなかったので、はっちゃけた感想が書けません(ヲイ)
つまんないけど時なき館の未紹介人物の紹介でもやっとくか〜(死ぬ程投げやりに)
皇(スメラギ)十座(ジュウザ)
ミカドの父親。ビジターで、アキムラの名が知れ渡るまでは最強と呼ばれていた強者。幼少のミカド(性格は今より凶暴)に過剰なスキンシップ(むしろ暴行)を加えながら教育的指導。何度もミカドから闇討ちを受けるが、その都度に撃退&半殺しで教育的指導。ところが告死天使を含む教会の討伐隊に敗れ、唐突に死亡する。能力は《滅術世界》、《質量念造構造体》、《鋳造意識球体》。
八並(ヤナラビ)康(コウ)
ミカドのオマケ。(ヒデェ) 天使でもビジターでもないので戦闘では全くの無力。でも年令の割に聡く、ヤバい方向へ暴走しがちなミカドを抑止すると言う偉業をやってのけている。ジュウザの友人の子供で、間奏で喋っていたあのお方の弟。基本的に明るく快活だが、「天使は死んでもよし」とか思っているあたり、こいつも歪んでいる。理由は不明。(つぅかネタバレ)
……こんなもん読んで誰が喜ぶんだよ〜等の突っ込みはナシの方向で(汗)
9月23日
ゴメン、私、アニヲタになるかもしんねぇ。(挨拶)
……ええー、正直に告白いたします。これまで私は「アニメなんて所詮子供向けだよ、話薄いぜ、逝ってよし」などと言う激・愚かな固定概念に支配されてました。その実、買う本の四分の三はライトノベルなんだからまったくもってデカイツラできないわけですが。
つぅか早い話、ゾイド万歳って事です。
こいつの再放送を見たおかげでアニメを見直しましたわ。 食わず嫌いしてた自分が恥ずかしいです。アニメ最高です。
……所で、話は変わりますが。
現在週一更新でやってる「はっちゃけ暗殺者君根性奮闘記〜恐怖!謎のゾンビ軍団〜」(仮称だぜ?ボゥズ)ですが、これ完結した時に次何を書こうかと言う事で君たちの意見を聞きたい。(無意味に偉そげ)(むしろ艦長)
案1:「名無しの時代・セカンドバトル〜〈閃殺〉の名を持つ男〜」(ショートガンアクションストーリー第二弾)
〈神速〉と〈必中〉 、二つの名を持つ少女。誰よりも確かな自己同一性を得た彼女は、同時に誰よりも過酷な運命を背負った。名を求める者達。襲撃に次ぐ襲撃。血河屍山の道の果
て、最後に出会った一人の青年。〈閃殺〉の名を持つ、男。
「御心配なく。そんな素直な武器にやられるほど、僕は弱くありませんから」
彼はそう言い、優し気な笑みを見せた。
案2:「ブランクメモリー〜ぼくたちのきおく〜」(アンパンマンパロディ)←正気かよオイ
戦う度に、彼は死ぬ。変えようのない掟。曲げようのない真理。頭部喚装による効率的な動力補給を実現した高機動人型自律兵器、アーマード・パンツァー。通
称、アンパ。死すべき定めの哀しき木偶。彼は――彼等は、今日も戦い続ける。
「どうして思い出せなかったんだろう。どうして忘れちゃってたんだろう。僕は……本当は……」
誰も共感する者とてない、陳腐で青臭く……純粋な、正義のために。
……ええー、今回も、もしこの日記を見た方がおりましたら、掲示板なんぞで「案○とかいーんとちゃう?」とか一言だけでも書き込んでいただけると逆立ちします。小一時間。
9月15日
早く戦闘シーンやりてぇよ的週一更新短編〜。
「良かった。このまま無視され続けたらどうしようかと思ってましたよ」
「何の用だと聞いている」
彼は一瞬怯えたような顔をしたが、すぐに表情を正した。
「あ、改めて、お願いに来ました」
しかし声はどもっている。
「前も言ったはずだ。魔物退治は断る、と」
「じゅ、十分な謝礼は、よ、用意できておりますが……っ!」
彼は、いつの間にか自分の喉元に押し当てられていた短剣を見て、声にならない悲鳴を上げた。
「私の仕事は人殺し専門なものでね、魔物がどこを貫けば死ぬかなど皆目検討もつかんよ」
私は『人殺し』の部分を強調しながら低く呟き、短剣を押し付ける力を僅かずつ強めていった。刃は頸動脈を正確に捉えている。
青年は見ている方が驚くほど面を引き攣らせ、青くなった。
裏返った声で悲鳴混じりに捲し立ててくる。
「てててててててててててててて敵は邪霊憑きの屍人形であったと言う、ほほほほほほほほほほほほほ報告もありますっっ!! 人に対する暗殺術はそのまま通
用するかとっっ!!」
「……何だと」
――『邪霊憑きの屍人形』?
脳裏に、ある屍体の姿が浮かび上がった。
その屍体は異常に分厚い筋肉を纏い、手に巨大な戦斧を携えていた。
――ふむ。
「えっ?」
私は短剣を懐に仕舞い込むと、きょとんとしている青年に言った。
「事情が変わった。話を聞かせてもらおうか」
彼は一瞬、訝し気な顔をしたが、
「は、はいっ! 早速!」
パッと顔を輝かせた。
青年の話によると、魔物による市民殺害事件――正確には失踪事件とのことだが――が最初に起こったのは、一月程前らしい。
事件現場は被害者の自宅。遺体は発見されなかったが、大量の血痕が部屋一面に付着しており、生存は絶望的であったらしい。
当初は『奇妙な手口の快楽殺人』としか思われていなかった。が、似たような事件が続発し、数少ない目撃証言を統合するに到り、現在では『生ける屍』ないしはそれに類する魔物による組織的犯行ではないかと目されるようになっている。
無論、墓場や戦場で自然発生するような『生ける屍』にそんな芸当はできまい。事件の背後には確実に高位
の術者がいるはずだ。
例えば、普段から死を制御するための研究を行っていた呪術師のような――
説明シーンはもうウンザリだぜっ!
9月12日
さて、今回はちょっとヲタ臭ぇ話でも。
「G・G・スレイマン」と言うキャラクターを御存じでしょうか。
「ブライトライツ・ホーリーランド」(古橋秀之著)と言うファンタジーとサイバーパンクをあわせたような小説に登場するイカしたガイです。むしろイカれたガイです。
もうね、一言で言ってしまえば悪のカリスマ。何の妥協の余地もなく悪。完全な悪。
私が知る限り、このお方ほど悪に徹したキャラクターは見たことがありません。
つぅわけで(どういうわけなんだか)彼の素晴らしき語録のほんの一部を公開してしまいましょう(著作権とか良く判りません)
「ハ、うるせぇバカ黙れそして死ね」
「願いは三つ! 『殺せ!』、『殺せ!』、そして『殺せ!』だ!!」
「神だァ? 俺をつまらんものと比べるな。俺は俺だ。ただひたすらにオ・レ・サ・マ・だ!」
……イヤハーッ!!
素晴らしい悪行。素晴らしい傲慢さ。
当然想像がついたと思われますが、この御仁はスメラギ ミカド君のキャラクターにも多大な影響を与えています。
まぁ、彼は壊れ超能力少女には優しい所もあるのですが、我らがスレイマン様はそんなヌルい感情などとうの昔に超越しておられます。なんたって、
「ク、ク……たまらんぞ。愛する者が、俺の手の中で喚き、泣き叫び、命乞いをし、俺を呪いながら死んでいく瞬間は……!!」
……ですからねぇ。
モーサイコー。
9月6日
いやぁ〜お久しぶりですこのジャップ共が(フレンドリーな笑み)
いちいち細かいことを気にするな黄色人種め(フレンドリーな笑み)
などと欧米の方々のイメージを意味もなく貶めた所で週一更新短編〜(自然な流れ)
再び、裏路地の酒場。その隅のテーブル。
安酒をあおり、息を付く。
はずみで視界に降りて来た前髪をはね除けた。
……やれやれ。
殺し損ねたのは九年ぶり。
誇りと向上心をもって暗殺業を営んでいる訳では勿論ない。だが、ごく貧相な自尊心くらいは芽吹いている。
――まさか『質量転移』を使うとは思わなかった。
言い訳じみた自分の本音に苦笑する。
通常、転移魔術は極めて使いでのない術法と考えられている。
時間がかかり過ぎるのだ。儀式にも、詠唱にも。
所要時間は距離と質量の掛算に比例する。
それはいいのだが、困った事に徒歩で目的地を目指した方が早い場合が多いのである。加えて、『質量
転移』の儀式に必要な秘薬や呪物は高額で取り引きされている物ばかりだ。
まったくもって使えない。徹底的に使えない。
……だが、ルダモットはそれを逃走手段に用いた。
「あっ、また会いましたね。こんばんわ〜」
行使に何日もかかる転移魔術を、だ。
「……あの〜」
――まったく。
笑えない。
「すいませ〜ん」
もっとも、方法がない訳ではない。
魔導構文の術式構造を組み換えて詠唱を短縮するか、あるいは――
「もしもーし」
『神』と呼称される仮定上の形而上学的存在の力を借りるか。
「寝てる……んじゃないですよね、頬がピクついてますし」
いずれにせよ並大抵の事ではない。ルダモットは希代の天才か、無私の聖人か――
どちらも違うとしか思えないが。
「反応して下さいよ〜」
気になる事はもう一つある。かの呪術師の足元に現れた、あの奇妙な呪紋。
「……あ! あんなところで綺麗な女性が酔っぱらいに絡まれて困ってる!!」
私は大気に干渉する魔術を専門的に修得しているが、他の属性の呪紋型も知識としては知っている。
「……そのお酒、飲んじゃいますよ?」
にもかかわらず、ルダモットの足元に現れたあの呪紋は、私の記憶の中には存在しない。
訳がわからない。
私は深い深い溜め息をついた。
頭痛の種はどこにでも存在する。私の目の前すら例外ではない。
「何の用だ」
そう問うと、都市警備隊の青年は嬉しそうに笑んだ。
明日こそは普通の日記にするんだよイエローモンキィ(フレンドリーな笑み)
8月11日
あ〜………………。
書くネタはないけど、いい加減普通日記をやんないといけません。
つぅわけで今回は私が気に入っているWEBノベルサイトなんぞを誰に尋ねられた訳でもないのに紹介しようと思います。
ちなみに全部無断リンクです。 運悪く紹介されちまった方々、本当に申し訳ございません。もしお気に触ったのであれば、速攻で削除させて頂きます。
BLADES
煽り文がイキナリイカス。 ジャンルはバトルアクションファンタジー(多分)。剣技や武器の性質も、思わず「その手があったか!」と脱帽し、いやが応にもハマり込む事うけあい。しかし……かなり昔から更新されておりません(涙)
「お前。俺から十分な距離をとったつもりなのだろうが……教えてやろう。俺の領域は5メートルだ」
ほのぼのこがらちゃん
ホムペ全体に漂う可愛らしい雰囲気に騙されてはいけません。……いや騙されても何の問題もありませんが。とにかくここは逸品な戦闘シーンが跳梁跋扈する危険領域です。
加えて、ほのぼのまったりとした雰囲気が非常に巧みに現されており、登場する女の子も可愛らしい。かなりお薦めです。
「みせてやるよ、俺の”意力剣”……俺の、”最も強いと思ってしまった”力のかたちを……」
アヒヒパラダイス
ここにある小説はドラえもんパロディです。 ……と言っても、ちょっと前に流行っていた(?)「原作のイメージを破壊して笑いを取るだけ」のパロディ小説とはひと味違います。まぁ、この小説にもそう言う一面
があるんですが、それだけでなく、物語としてまっとうに面白いのです。特に長編の方。それがギャグとしての馬鹿馬鹿しさと素敵な融合をはたしており、強烈な個性を発してます。……ただ、このホムペには更に凄いコンテンツがあります。それはリレー小説。はっきり言ってこれは凄まじ過ぎます。もはや「凄い」とか「素晴らしい」などと言うヌルい褒め言葉が当てはまりません。これ書いている方々は神です。
「フフフ…。僕の髪の毛を馬鹿にした罰だ!容赦なく撃ち殺せ!ラジコン軍 団!」
四畳半の部屋
ファンタジー長編がメインのページ。さすがアエーマで高評価を受けているだけあって、描写
、キャラクター、ストーリー、とスキも死角も見当たりません。特に描写が一級品で、現実に存在しない光景なのに、圧倒的な存在感をもって読む人の脳内に苦もなく再構築されます。動作も非常にわかりやすい。ビバ!
「誰がガキだ、誰が!俺様こそは憎悪と恐怖と絶望と破滅の使者、唯一無二の 悪の申し子!現世に甦った不滅の魔王!ラドュ・ド・フャルェレガ様だ!!」
(デカン)高原のホームページ
さぁ〜て、今週の目玉。私の中では最強のオンライン小説に位置付けられている、『ストレンジライフス2』が唯一読める場所。正直言って「何でこの人プロにならないんだろう」と素人考えには思ってしまう程の文章力です。言い回しが切れ味鋭く、設定が斬新で、登場するキャラクターが全員カッコ良過ぎ、戦闘シーンは緊迫感溢れています。特に西浦龍一の戦闘シーンなどは震えが走りました。私の小説なんか読む暇があったらこっちへ行きましょう。(冗談でも何でもなく、本気)
「『ミノタウロスの皿』という話を知っているか?別に知らなくとも構いはしないが。その中にな、ヒロインである女の子がこんな事を言っている。死ぬ
のが怖くないのか、本当に明日殺されることが怖くないのか―――そう問われ。『怖いわ』―――そう答えた。……が、すぐに続けて、『小さい頃虫歯を抜いたの、とても怖かったわ。それと同じよ。誰もが経験することだし…』そう言った。恐れる心を超越して。それが洗脳であれ。理屈はどうでも良い。しかし死なんて恐れるべきシロモノじゃない。本当に死にたくなければ、無人島にでも篭れば良いんだ。敵もいない、寿命はたもてるだろうさ。しかしそれに何の意味がある?いつかは必ず死ぬ
。だから何だ?私達は人を殺す。だから何だ?何か意味があるのか?」
8月9日
週一更新短編〜。
柔らかい物が潰れる音と、重く堅い物の転がる音。
……胸が悪くなりそうだ。
「やれやれ、せっかくの試作品をよくもまぁ……」
不愉快なタイミングでの老人の声。
「私とて、こんな野蛮な方法は願い下げだ」
苛立たしさが溜め息と共に出た。
『一撃で急所を貫き、遺体の損傷は極力少なく』
……私が己に課した、“営業行動時”のマナー。
掟と呼ぶほど厳格ではない。
状況が許せば、と言ったレベルの事柄。
だが、極力守るようにはしてきた。
それがこの様だ。
まったくもって笑えない。
ククッ、と喉が詰まったような声がした。
ルダモットが当てつけのように嗤っている。
「もうすでに殺した後のような態度だな」
言葉の端々に嫌味と余裕が伺えた。
「そうだな、まだ本命が生きている」
私は長剣を振るって霊液を落とした後、切っ先を呪術師へ向けた。
ルダモットは平然としている。それどころか、
「それ以前の問題だよ、名も知らぬ暗殺者君?」
笑いの感情を孕ませ、からかうように声を掛けてくる。
「どういう意味だ」
答えるように、ルダモットは口元を歪めて呪装杖を高く掲げ、
「こういう、意味だよ……!」
床へ打ち下ろした。
耳朶を打ったのは、堅い床を杖で叩いた音ではなかった。
低く、重く、脳に直接響いてくるような――異音。
次いで、魔導炉の唸り声のような音が辺りの空間に染み入り、呪術師の足元に紅い呪紋が展開する。
それは、四元素理論や陰陽理論を基盤とする通常の紋様ではなかった。幾何学的な整合性など皆無の、曲線と円を出鱈目に配したような、何の意味も感ぜられない呪紋であった。
――何をするつもりだ……
根拠のない危機感が全身を支配する。
私は再度、『突風』が呪附された投擲用短剣を撃ち放った。
呪紋の輝きが短剣の軌跡を閃光に染め上げる。
刃が木材を貫く音。
……木材?
狙いを外したわけでは決してなかった。
ルダモットの姿がない――いや、あった。
混沌の偶像と言うべき謎の呪紋に、下半身が吸い込まれていた。
上半身だけが出ている形だ。
「今日は終りだな、暗殺者。儂としては二度と逢いたくはないのだが、貴様にその気があるのならば再び相見える事もあるだろう」
そう言うと、異形の生物に飲み込まれるように、瞬時に呪紋の中に姿を消してしまった。
私の投擲用短剣が、呪術師の直前まで存在していた空間を貫いた。
あ〜……。
なんか最近ここ日記じゃなくなっているよーな……。
こんなことではいけませんねぇ……。
8月3日
さぁ〜て、先週サボった事であるし、いいかげんアップしますかぁ〜
週一更新短編〜。
骨格はさほど大柄にも見えないのだが、鋼のような分厚い筋肉が盛り上がり、力強いフォルムを形作っている。ただ、それは肉食獣のごときしなやかさとは無縁の、取って付けたような異常な筋量
であった。
その異様に太い腕には、柄の長い戦斧が納まっていた。
ルダモットは笑う。
「死者復活? 結社の連中は、まだそのような下らぬ研究にしがみついているのか」
意外な言葉だ。研究が産むであろう莫大な利益を独占したいがために、彼は結社を裏切ったものと考えていたが。
……とは言え、どうでもいい事ではある。
「そのようだな。これから死ぬ人物には関係のないことだが」
言うが早いが、私は腕を振るう。
四指の間に三本の刃物が現れ、手首のバネで撃ち放たれた。
投擲用に重心が調整された、鍔のない短剣だ。
柄頭に彫り込まれた『突風』の呪紋が光を放ち、刀身を超加速させる。
同時に屍が動く。弾かれたように短剣とルダモットの間に割って入り、間一髪で自らの主を庇ってみせた。
大した忠誠心だな。
短剣は胸筋の中に埋没している。だが血液は吹き出さず、透明な霊液がトロトロと流れ出していた。
交換輸液処理――えらく手の込んだ死体だ。
私は前腕の射出機構を作動、先程よりも大振りな短剣が飛び出し、滑らかな柄の感触が掌に広がる。
同時に背後へ起風魔術を撃ち込み、床を蹴った。
急激な加速。顔面を殴りつけるような風圧。
屍は迎撃の為に戦斧を斜上に振りかぶった。
が、遅い。
動作が完成する遥か前に、私は巨躯の懐へ潜り込んだ。
大ぶりな短剣を握りしめ、突進の勢いを乗せて突き込んだ。
銀光は筋肉を裂き潰し、透明な霊液が溢れ出る。
背後では、ワンテンポ遅れて屍が斧を撃ち下ろし、木製の床を叩き砕いていた。
私は意に介さず、短剣の柄頭に掌を当て、魔導単語を低く呟く。
刹那――
爆音。次いで反動。
短剣を位相魔導学的な弾芯とした、超高圧の大気の砲弾。
それを屍の腹腔に叩き込み、分厚い腹筋と死んだ臓物を抉り飛ばした。
大量の霊液が沸き出し、外套を汚す。
屍の巨体がくの字に折れ曲がり、頭部が私の目の前に引き降ろされた。
謀らずも彼我の目線が一致した。白く濁った、死んだ眼だった。
私は腰の柄に手を添わせる。
抜き打ちの一閃。
長剣の燐光が正確な弧を描き、屍の頚部を鮮やかに斬り飛ばした。
や?ぁいです。一体いつまで続くんでしょう。
ていうか訳の解らん固有名詞連発すんの止めぇや。
7月22日
ハードボイルドと言う言葉について考える。
つぅか今までずっと考えていた。
――激しく(hard)茹でた(boiled)りして何が楽しいんだ?
答は出ない。
……………………………………………………………。
……いや、わかってますよ。ハードボイルドが 何かのジャンルである事ぐらい、いかに「大正デモクラシー」と「灯台元暗し」を混同していた男とて、その程度は理解していますよ。当然。
でもね。
しかしね。
それが具体的にどういうジャンルなのかという問題について、 私は解決の方法はおろか糸口すら掴んでいないというのが如何ともし難い現状なのでありまして――
……とりあえず、困った時は妄想です。
私的ハードボイルド妄想〜。
ハードボイルドとは、クールでニヒルでドライでストイックな探偵が恋人(もしくは肉親)の仇を撃つべく犯罪組織と死闘を繰り広げる物語全般 を指す言葉である。
……とか思ってみたりしたんですが。果してどうなのか。
調べる気力ナシ(ヲイ)。
7月19日
週一更新続〜。
「っ!」
――枯れ果てた老人の顔だった。
老人が、部屋からこちらを見上げていた。
顔が、醜く歪んだ。
私は空気の微妙な流れの変化を感じ取り、その場から跳び退る。
直後、轟音。
屋根裏の床が下から突き壊された。
盛大に木屑と埃が舞う。
同時に、破壊の原因と思しき存在が姿を現した。
暗闇の中で鋭く光る刃。
巨大な戦斧だ。
あの老人がこんなものを振り回している姿など想像もできないので、下には他にも誰かいるのだろう。
あるいは、『何か』が。
私は剣を抜き、逆手に構えると、手早く詠唱を済ませる。
刀身に浮かび上がった呪紋を確認するまでもなく突き下ろした。
切っ先より連なる衝撃波が迸り、朽ちかけた床は広範囲が爆散。私は一瞬、重力から解放される。
その時、凄まじい風圧が大質量の急接近を知らせた。
私は下方に起風魔術を叩き付け、落下速度を軽減させる。
巨刃が真下の空間を薙ぎ払った。暴風が吹き荒れ、髪や外套をはためかせる。
戦斧の残像を突っ切るように着地し、私は前方を睨む。
魔導灯に鈍く照らされた書斎の様子が目に飛び込んできた。
大小二つの人影がある。
「結社に雇われたか? 御苦労な事だな」
小さい方の影が笑った。
防魔印形が編み出された長衣を纏い、手には呪物装填式の呪装杖が納まっている。
現代の典型的な呪術師の装いだ。
彼がルダモットと見て間違いあるまい。
そして彼の傍らにいるのは――
「……死者復活とはそう言う意味なのか」
私は半ば呆れながら呟く。
――不自然に筋肉が膨張した、屍だった。
……あ〜、短け〜。
何回続くんだよ、これ。
7月14日
週一更新第三弾〜。
「下らん。話にならんな」
私は席を立ちながら言い放った。他のテーブルの人々が胡乱げな眼差しを向けてくる。
このような裏路地の奥にある酒場には珍しく、見るからにカタギでないような人間はほとんどいない。むしろ普通
に生産活動に従事している一般人が多い位である。
「そこをなんとか……」
私の席の向かいに座っていた青年が情けない声を出す。歳は私より少し若いだろうか。都市の警備隊の青い制服を着ていたが、一度も喧嘩をした事のなさそうな面
構えを見る限り、治安維持の役に立っているとは考えにくい。
とんだお笑い草だ。
「そこらの冒険者どもにでも頭を下げる事だな。魔物退治は彼等の領分だろう」
「わ、我々としましても、最初はそう思いまして何度か冒険者の方々に声を掛けさせて頂いたのですが……」
そこから先は言いにくいのか、押し黙る男。
「……全部断られたのか」
仕方がないので先回りして言ってやると、
「……全部喰われました」
青年は沈痛な声で答えた。
「…………」
喰われた……と言うのは比喩ではないのだろう。青年は泣きそうな顔でこちらを見つめてくる。
そして木製テーブルに両手を打ち付けると、下方に頭突きせんばかりの勢いで頭を下げた。グラスに注がれたエールに波紋が浮かぶ。
「後生ですから引き受けて下さい……! もう十九人が犠牲になってるんですっ!!」
「知った事ではないな。私はここの住民に恩も義理もない」
私は外套を翻すと歩き始めた。酒場の床は石製だが、足音は立てない。
「ここで――」
背中越しに震えた声。嵐の予感。
「ここで、あなたを逃したら僕は――」
込められるのは膨大な責任感と焦燥感。
「僕は――!」
それは、後に引けない者の押し殺した悲鳴。
「――クビになってしまいますっっ!!」
……本音はそれか。
「下らんな」
音を立てずに酒場を出る。
まだ後ろで何か叫んでいたが、私は徹底的に無視した。
酒場を出てしばらく。
時刻は既に夕暮れ時。
周囲の家々からは魔導炉の駆動音と夕餉の暖かな香りが漂ってくる。通路脇に設置された魔導街灯は、日光の減少に反応して仄かに光を放ち始めていた。
ここは、海上都市セルツォーレ。サリトラ海に文字通り浮かんでいる人工島だ。
失地王レティーヴォ討死の地として知られると同時に、遠洋漁業や東方貿易の重要な拠点の一つでもある。
都市中を毛細血管のように駆け巡る小路地を、私は歩いている。
散歩でも観光でもない。ここに上陸する前に受けた依頼を果す為だ。
依頼主は、北方大陸に掃いて捨てるほど存在する密儀系魔術結社の一つ。
死者の魂魄に魔術的拘束を与え、永遠の生命を得る事が彼等の最終目的であったらしい。そして、数々のおぞましい実験儀式の末、死者復活の秘法があと一歩で完成する所まで漕ぎ着けた。
だが、その時になって構成員の一人が裏切りを働いたと言う。
裏切り者の名はルダモット。結社の中でも高位の術者だ。
依頼の内容は、ルダモットの暗殺。そして彼が持ち去った秘法に関する資料の奪還。
奪還の方は本職ではないのだが……まぁ、物はついでだ。
しばらく歩くと、狭い通路の一角に、夕闇の中でもひときわ暗い領域が現れた。
一見、魔導街灯の死角になっているので暗黒に包まれているように見える。
が、灯光の角度や通路の位置関係を鑑みれば、この闇はいかにも不自然だ。
――ここ、か。
あの情報屋は正しかったようだ。
私は僅かに外套を払い、腰に吊り下げられた黒塗りの鞘と柄に手を掛ける。
おもむろに抜剣。
いつもの癖で、鞘走りの音は立てない。
露になった刀身は夕日を受け、魔力を宿す金属特有の燐光を返した。
『百の人間の生き血を啜った剣は、業と怨念を取り込み邪剣と化す』
北方大陸に広く流布する言い伝えだが、所詮は迷信だと断言出来る。
この剣は、魔力伝達性に優れる事を除けば普通の剣と変わらないのだ。
私は低く呟くように詠唱を開始した。
独特の韻を踏んだ魔導構文が紡ぎ出される。
すると、剣の刀身に『解呪』の呪紋が浮かび上がり始めた。
詠唱が完成。
私は魔力の輝きを宿す剣を大上段に掲げ、一気に振り下ろした。
闇が、切り裂かれる。
切り口は急激に闇を押し広げ、残らず吹き飛ばした。
目の前に現れたのは、びっしりと生えた苔が年季を感じさせる家屋だ。
石と木材を組んで建てられた佇まいは、本当に生活をする気があるのか疑いたくなるほど手入れされておらず、朽ちかけていた。
もっとも、持ち主がどういうつもりでこの家を選んだのかを把握していれば、さほど不思議さは感じない。
ルダモットはここに潜伏しているらしい。
正面からの侵入は避ける。別に正々堂々と戦いに来た訳ではない。結果としてルダモットを殺せればそれでいい。
私は肩ごしに腕を伸ばすと、掌を背後の石畳通路に向けた。
魔導構文を短く詠唱。
直後、掌から強力な突風が迸り、反動で全身が打ち上げられる。
強い慣性と浮遊感。
空中で巧みに威力を調整し、ボロボロの屋根に舞い降りた。
初級の起風魔術。
直接的な殺傷力は皆無だが、慣れればこう言う使い方もできる。
鋭い夕日に目を細めた。
大小様々な瓦屋根の群れが視界を覆い、緋色の光に包まれている。
遥か遠方には、黄金に輝くサリトラ海が穏やかに揺らめいていた。
屋根の上から見るセルツォーレは、一般的な価値基準で言うなら、美しいと言えた。
私にはあまり関係のない事だが。
気を取り直して崩れかけの瓦屋根を走る。音は立てない。
いい具合に大きく崩れている箇所を発見し、素早くそこへ滑り込む。
急激に光が少なくなる。
当然の事だが、私は屋根裏に降り立ったようだ。
目が慣れるのを待つまでもなく、床に開いた穴から灯りが漏れているのが見えた。
警戒。そして接近。
穴から見えたのは――
…………続く(ヲイ)。
えっれぇありがちな話を書いてしまった……。
魔法の描写は楽しいなぁ。
7月7日
今日、「未来が見えない」と評判のXboxを買いに行こうと思いました。(大前提)
ところが、そんな日に限ってマイ自転車がパンクしていると言うオモシロ状況。(小前提)
色々と面倒臭くなったので徒歩で行きました。 (結論)
ちなみに歩いて往復2時間の距離です。
時間はちょうどお昼頃です。
今日の気温は三十度超えてましたね〜。
つーかXboxデカ過ぎ&重過ぎ。
……………………映像的に言いましょう。
真夏の炎天下で、汗をダラダラ流しながら、超重量級遊戯機体を両手で抱えて歩く貧弱ボォイ。
…………………………………………………………………………………………。
…………………………………………………………………………………………。
…………………………………………………………………………………………。
わかったからその目はやめろ。
7月5日
あ〜、週一更新第2弾〜。
隻眼の傭兵は語る。
例えば。
例えば、だ。
最強と呼ばれる男が仮にいたとする。
そして事実、最強と呼ばれるに相応しい武勇を持っていたとする。
さらに、とんでもない殺人狂いで、眼に付く人間は片っ端から襲い掛かるような奴だったとする。
さて、お前達はこれにどう対処する?
意見を聞こうじゃねえか。
……逃げる?
残念だが無理だな。奴は――そう、人間離れして足が速い。
……戦う?
逃げる以上に難しいな。人間を超越した動態視力と反射神経、さらにはあらゆる衝撃を刃で弾き返すだけの膂力を持つ男。――それが、奴だ。
……懐柔だと?
面白いアイディアだが、一番愚かな選択だな。奴に言葉は通じない。少なくとも誰も奴の声を聞いた事はない。
抵抗する者も、
命乞いする者も、
死を覚悟して頭を差し出す者も、
皆等しく無言の刃によって血の海に沈んで行った。
まさに無言、だ。なんにも喋りゃしない。
どんな反応に打って出ようとも、奴は人類みな平等と言わんばかりに何の躊躇いもなく剣を振り下ろす。
まったく、クソ食らえと言いたくなるよ、俺でも。
リギシュ軍人は語る。
『最強』と言う言葉について考えてみよう。
……いや、形容詞だとか最上級だとか、そういう文法的な事を言っているのではない。
考えたいのはただ一点。
『最強』の名を冠しうる人物は現れるのだろうか、と言う事だ。
――もちろん、こんな疑問になど律儀に考え込む必要はない。
軍人は苦笑する。
だれしも一瞬で「否」と答えるだろう。
どれほどの剣士であろうとも、数に任せて押しまくれば倒せるし、全ての武術には相性の善し悪しが確実に存在する。寝込みを襲えばもっと簡単だ。
いかなる兵器を持とうが、どんな技を使おうが、戦術レベルの技術が日進月歩で移り変わる現代において、本当の意味で絶対無敵な戦闘力などあり得ない。
そう、あり得ないのだ。
しかし――
ユミシマの少女は語る。
あり得るかどうかはひとまず度外視して、『最強』と言う存在を定義してみようと思うのだ。
いかなる者であれば、最強と呼ぶ事ができるだろうか?
比類なき武勇を誇る者?
最高の業物を有する者?
先端技術で己を強化した者?
強力な兵装を操り得る者?
如何なる技も見切る者?
あり得ぬ異能を持つ者?
それとも……
少女は横へ眼をやる。
無から生まれた『彼』のような……?
流浪の剣士は語る。
どうだろうな。
今、アヤカが言ったような奴等は……
……まぁ、ここにいる面々の事なんだが……
……最強ではないと思う。
こんな事を言ったらすごくヒンシュクを買いそうで嫌なんだが――
俺に言わせれば、ココにいる全員が何らかの弱さを持っていると思うんだな。
……いや、メンタル的な事じゃなくて。
なんて言うか…………そう、『負け得る状況』って言うのかな。
誰しも、追い込めまれれば簡単に倒されてしまうような、特定の状況が確実にあると思う。
例えば俺だ。俺はまぁ『あらゆる技を見切る』っていう恥ずかしい触れ込みでブラブラ旅をしてたんだが……ぶっちゃけ、遠距離から狙撃されたら対処出来る自信はない。それに、見切れるけれど何も出来ないような物凄い斬撃も、何度か受けた事はある。
剣士は懐かしむように自らの胸板に触れる。
俺は思う。
『最強』とは、そう言う『負け得る状況』が全くない奴の事だ、と。
そして、この中の誰一人として『最強』ではない、と。
賞金稼ぎは語る。
ずいぶん弱気だねぇ、……ええと、バル……と……め……
剣士は溜め息を付く。
バルトロメウ。言いにくいならディアスにしてくれ。
少女は影でクスリと笑った。
賞金稼ぎは頭を掻く。
あ〜、ゴメンゴメン。じゃあディアス。言わせてもらうけど、アンタが言ったようなのは、『さいきょー』ってゆーか『むてき』なんじゃないかな。『さいきょー』だからって絶対負けないなんて事はないと思うんだけど。
つーか、ディアスが言ってんのは一対一に限った事でしょうがよ?
一対多数でも敵わないんじゃあ、オレ達なんのために集められたんだかねぇ……?
死刑囚は語る。
だから言っているじゃないかぁ、ボク達は全員死ぬために集められたんだよ。『最強死滅作戦』と言う名の下らない茶番によってねぇ。
ミシュアラの少年は問う。
ど、どう言う事ですか……?
隻眼の傭兵は諌める。
やめときな、ティーユ。あの気狂いの言う事を一々真に受けない方がいい。
死刑囚は嗤う。
ククッ……酷いなぁ。ボクはただ善意でリギシュの黒い陰謀を……
リギシュ軍人は声を上げる。
死刑囚! 今作戦は国際秩序構築機構の名の元に遂行される正式な軍事作戦だ。精神異常者の戯言とは言え、リギシュの名を貶める発言は私が許さん。
絶対に、だ。
死刑囚はなおも嗤っていた。
いつまでも、嗤っていた。
…………………………………………………………。
なに混乱に乗じて最強死滅作戦の煽り文書いてんですか貴様は。
つうか意味不明。短編じゃねぇ。
……などと自分で言っておけば突っ込みを受ける可能性を減らす事ができる高等テク。
鬱。
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