原初の時代
世界は質量を持つ暗黒で構成されていた
あらゆる事象がミキサーに掻き回されたかのように混在し、それらはただ深い深い暗黒としか認識できなかった
あるとき、
なんの偶然か、流動する闇の中で、僅かながら闇が存在しない区域が現れた
闇の存在しない区域――のちに光と呼ばれる存在――は爆発的に周囲の闇を分解しながら広がっていった
それは文字通り、光の爆発であった
それは文字通り、世界で初の事象であった
それは文字通り、史上最大の事象であった
大量の闇が分解され、さまざまな事象へと変質していった
すなわち、
土、石、金属、炭素、炎、電気、存在、概念、生物、知性、愛情、憎悪――
誕生した無数の事象達は、互いに干渉し合いながら、世界に形を与えた
しかし
光の爆発は、あまりにも強力過ぎた
それは闇を分解しただけでなく、世界そのものにも亀裂を作ってしまった
いかなる存在にも渡る事の出来ない、深く広い亀裂を
世界は、バラバラに引き裂かれてしまったのだ……

《模索する民》の書より抜粋


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